インタラクティブ展覧会 「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」を見てきました:前編(アート編)

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GWに以前から気になっていた「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」をお台場の日本科学未来館に見に行ってきました。後編はこちら
気になってはいたものの、大混雑という事を聞いてなかなか足が向かわず。。。しかし、5/10で終わり。それまでに!という事で重い腰を上げ行ってきました。こどもの日の次の日だったんですが、思ったよりは空いてましたね。チケット売り場も並ぶ事も無くスイスイ行けました。

チームラボとは?

チームラボという制作会社をよく知らないという方は以下抜粋をどうぞ

チームラボは、プログラマ・エンジニア(UIエンジニア、DBエンジニア、ネットワークエンジニア、ハードウェアエンジニア、コンピュータビジョンエンジニア、ソフトウェアアーキテクト)、数学者、建築家、CGアニメーター、Webデザイナー、グラフィックデザイナー、絵師、編集者など、スペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート・サイエンス・テクノロジーの境界線を曖昧にしながら活動中。

東京大学での同級生だった猪子寿之さんと青木俊介さんがシステム開発を始めたのが会社の前身らしいですね。最近ではパリのGrand Palaisにプロジェクションマッピングしたり、イタリア「ミラノ万博」で日本館を担当、ニューヨークのPace Galleryにて展覧会を行うなど国際的な活動も行っています。

アート編の概要

アート編は和がテーマになっていて先人のクリエイターへのオマージュが見られます。所々ブース、図録、WEBサイトの解説で出てくるキーワード「日本の空間認識」がありますが、人間の目は写真や遠近法のように見えない。という前提のもと、西洋の絵画の場合背景や、奥行きなど書き手の視点を描いている。一方近代以前の日本画の場合は平面として描いている。という点に言及しています。
遠近法による絵画というのは鑑賞者(書き手)の位置が重要になります(視点が動くと全く変わった見え方になる)が、平面な日本画はどこから見ても同じ。視点の限定が無く移動が自由である事を意味し、日本美術というのは机の上で絵をつなぎ合わせる(絵巻)、折り曲げる、移動する(ふすま)などのように使っていたからだとしています。これを彼らは超主観空間と呼んでいます。
それじゃあそれに空間(3D)も時間軸(ストーリー)も表現して超主観空間を再構築してやろうじゃないかという挑戦がこのアート展です。(ざっくりまとめちゃいましたが)

詳しくは下記で(近代以前の知、古来日本の空間認識)

http://www.team-lab.net/concept/chou_shukan_kukan.html

ちなみに…
この後何度か出てくる鑑賞者の動きに反応するインタラクティブな仕掛けですが、各ブースのプロジェクターで映像を映し、レンジスキャナという機材で広角に鑑賞者の測定点の距離や角度を計る事で実現しているそうです。
※作品は全てyoutubeで見られます。全部のyoutubeを1ページに読み込むと重いので作品ごとにリンクだけつけてますよ。

花と人、コントロールできないけれども共に生きる、そして永久に – Tokyo

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»youtubeで作品を見る

オープニングに出現するのはこの作品。ちょっと広め?の鏡ばりの部屋いっぱいに花いっぱいの草原が広がります。主に見る人の移動(激しく移動したり、ゆっくりと立ち止まったり)で花びらのちらばり具合に影響がでるインタラクティブな作品。

Cold Life / 冷たい生命

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»youtubeで作品を見る

暗い夜の中月に照らされ、時に雪が降り、最後に力強く花が咲く。
書道家の紫舟さんが描いた「生」という字を3Dで描いていく作品。4Kの高解像度のこのモニターは作品の緻密な動きもリアルに再現していました。この辺は狭い廊下の様になっていて落ち着いてみれなかった。。。

生命は生命の力で生きている

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»youtubeで作品を見る

この作品は水墨画のようなビジュアルから盆栽のような作品へと変化して行きます。こちらも書道家の紫舟さんが描いた「生」という字を3Dで描いていく作品で4K。先ほどの作品と違うのは書の墨跡が持つ、深さや速さ、力の強さも3Dで再現している所。

増殖する生命 – Gold

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»youtubeで作品を見る

盆栽のような3Dオブジェクトの周りに無数の花びらが散らばりまくります。輝き、ぼけ具合は高解像度のモニターでしか表現できないでしょう。またプログラムでランダム、自律的に発生している表現の為、この瞬間の絵は、2度と見ることができません。

花と屍 剝落 十二幅対

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»youtubeで作品を見る

先ほどの作品の後ろにこの作品が。神話の時代をモチーフにし、「自然と文明の、衝突、循環、共生」をテーマにした絵物語だそうです。金の屏風を連想させるオープニングからヤマタノオロチを中心に12のモニターがそれぞれのストーリーで変化していきます。平面的な日本画が3Dでしてよみがえるのですが、後半その3Dの骨組みとも言えるメッシュが青白く見えます。これがまた神秘的なんですね。3Dテクノロジーと平面的な日本画の違和感というか、挑戦的です。

以下はそれぞれのモニターのストーリー

1:花と屍 十二幅対 都と貴族
栄華極まる都。光源氏は、きらびやかな色彩の中で、生活を送っていた。
2:花と屍 十二幅対 繁栄と厄災
都で、厄病が流行る。厄病の原因を探るため、光源氏は厄病を辿って、都の外へと旅立つ。
3:花と屍 十二幅対 山の民と祭
厄病を辿ると、山の村へ行き着いた。村では自然の恵みを祝い、祭りが行われていた。
4:花と屍 十二幅対 森と日常
祭りが終わり、日常に戻った村では、厄病の影響を受けながらも、人々は、果敢に生きていた。人々は木々を切り文明を発展させ、また様々な自然の恩恵を受けながら、豊かに暮らしていた。
5:花と屍 十二幅対 神木とヤマタノオロチ
山の村は、都でのさらなる発展のために多くの材木を依頼され、山の奥深くの巨木を切り倒すことになった。巨木を切り倒すと、突如、そこからヤマタノオロチが現れる。ヤマタノオロチは怒り狂い、大雨を降らして洪水を起こす。
6:花と屍 十二幅対 ヤマタノオロチと森の神々
山の村の家々をなぎ倒し、暴れまわるヤマタノオロチに続き、森の神々がやってきて、次々と人々を襲い始める。
7:花と屍 十二幅対 戦場と兵器
山の村は、武士に依頼し、山の村に武士の集団がやってくる。武士達と、ヤマタノオロチや森の神々との戦いがはじまる。
8:花と屍 十二幅対 勝利と破壊
武士達は、火矢など、文明を駆使し、激戦の末、武士の集団が勝利を収める。
9:花と屍 十二幅対 荒野と飢え
後に残ったのは、燃え尽きた森の残骸。山の村は自然の恩恵を失い、飢えを予期し絶望する。
10:花と屍 十二幅対 花と屍
光源氏は、ヤマタノオロチや森の神々の屍に囲まれ呆然とする。困った光源氏は、ヤマタノオロチの屍に、種をまいてみる。そうすると、屍から、芽が出て、みるみる花々が咲いていく。その花々は、樹木に成長し、森が作られていく。
11:花と屍 十二幅対 森と祭
山の民たちは、森の恩恵をまた受けることができるようになり、文明を発展させながらも、森と共に生きていく決意をし、山の村では、また祭りが行われる。
12:花と屍 十二幅対 都と祭
都では厄病が少し落ち着き、原因はよくわからないままだが、めでたいということで祭りが行われる。

世界はこんなにもやさしく、うつくしい

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»youtubeで作品を見る
薄暗い部屋に360度幻想的な世界が広がります。ランダムに上部から文字が落ちてきて見る人が触れるとその文字がもつ世界が現れるというインタラクティブな作品。周辺にある文字と文字の関係で動きも変わる奥深い作品。

世界は、統合されつつ、分割もされ、繰り返しつつ、いつも違う

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»youtubeで作品を見る

伊藤若冲(1716 – 1800)という江戸時代中期の京都にて活躍した絵師の「鳥獣花木図屏風」や「樹花鳥獣図屏風」をモチーフにしているそうです。ピクセルアート的なアプローチで描かれたこの作品は鑑賞者の存在で作品に変化が起こるインタラクティブな作品。1つの升目は複数の色で構成されるため離れて見るのと近づいてみて見るのでは全く印象が変わる。

追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして分割された視点 ‒ Light in Dark

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»youtubeで作品を見る

閲覧ルート的にこれがアート編のクライマックスを迎える作品。
凄まじいカメラワークで超時空要塞マクロスでアクロバティックに画面いっぱいに埋め尽くすミサイルをよけまくる映像(「板野サーカス」と呼ばれているようです。)へのオマージュとして作られた作品だそうです。日本神話にも出てくるヤタガラスを中心に和の映像美を作り出しています。
7画面をV字にレイアウトして立体感、緊張感が出ていました。

アート編まとめ

以上アート編でしたが、いかがでしたでしょうか?
新しい作品の「Floating Flower Garden – 花と我と同根、庭と我と一体」が未来館7Fで展示されていたのですが、そっちは1時間30分待ちの混雑で時間が間に合いませんでした。もっと早く行けば良かった。。。残念。
今回の展覧会は終わってしまいましたが、次回チャンスがあればまた行きたいと思います!
平面に空間(3D)と時間軸(ストーリー)が加わり、デジタルでしか表現できない単純さと複雑さ、平面と立体、機械的と有機的、カオス(ランダム)と秩序にインタラクティブが加わり、大人も子供の様に作品と対話する超主観空間でした。

次回は、はしゃぐのは子供だけじゃない!むしろ大人が夢中になっちゃう「遊園地編」です。後編はこちら

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